花粉症から慢性炎症を考える - 舌診からみるアレルギー疾患
春や季節の変わり目になると、鼻炎や花粉症の患者さんが増えてきます。
原因は花粉だけではありません。
- 気圧の変化
- 黄砂
- PM2.5
- 引っ越しや掃除による粉塵
など、さまざまな環境要因が重なって症状が悪化します。
こうした体調変化は「気象病」と呼ばれることもあります。
診療を続けていると、花粉症は単なる「鼻の病気」ではないことに気づきます。
そこには共通する病態があります。
それが 慢性炎症 です。
花粉症・喘息・アトピーに共通する慢性炎症
花粉症、喘息、アトピーは臓器は異なりますが、免疫学的には共通した炎症の仕組みを持っています。
現在の医学、そして漢方医学でも、鼻と気管支は一つの気道として考えられています。
そのため
- 花粉症
- アレルギー性鼻炎
- 気管支喘息
- アトピー性皮膚炎
などは互いに関連することが多く、慢性炎症という共通した病態として理解することができます。
炎症が続くと組織は硬くなる
炎症には急性炎症と慢性炎症があります。炎症の初期では、粘膜は腫れてむくみます。
しかし炎症が長く続くと、組織は次第に硬くなっていきます。
例えば
- 喘息では気道の構造が変化する「気道リモデリング」
- 肺では線維化
- アトピーでは皮膚肥厚
などが起こります。
私は呼吸器外科医として長く肺を触ってきました。炎症で柔らかく腫れた肺、そして慢性炎症で硬くなった肺を実際に触診してきた経験があります。
この経験から、体の炎症状態は体表にも現れるのではないかと考えるようになりました。
舌は体の状態を映す鏡
その一つが 舌診 です。
臨床経験では
- むくんだ柔らかい舌
- 紫色で硬い舌
- 乾燥した舌
など、舌の状態は体の炎症の状態と対応していることが多いと感じています。
東洋医学では体の状態を
- 気
- 血
- 水
のバランスとして考えます。
炎症の初期では粘膜がむくみます。
これは水毒と呼ばれる状態です。
炎症が長く続くと血流が悪くなります。
これは瘀血と呼ばれます。
さらに炎症が進むと組織は乾燥し硬くなります。
つまり
「むくみ(水毒) →うっ血( 瘀血) → 乾燥(血虚)」
という変化です。
舌診から選ぶ漢方治療
当院では舌の状態を参考にしながら漢方薬を選びます。
むくみが強い場合
→ 五苓散
血流が悪い場合
→ 桂枝茯苓丸
まだ炎症が残り、湿りを伴う慢性炎症の場合
→ 補中益気湯
炎症が長く続き、乾きや消耗が目立つ場合
→ 十全大補湯
このように体の状態に合わせて治療を行います。
西洋医学と漢方医学
私自身、若い頃は
- 喘息
- 皮膚炎
- 慢性的な下痢
などがあり、吸入ステロイドやステロイド軟膏、整腸剤など様々な治療を試してみましたが、長く続けられたのは漢方治療で、体調は大きく改善しました。
また 米国のMayo Clinic で免疫学を学んだ経験から、アレルギー疾患は局所の問題ではなく、くすぶった炎症「慢性炎症」に介入することで喘息発作や花粉症、下痢などの発作を制御しうると考えるようになりました。
現在の外来では
- 抗アレルギー薬
- 点鼻薬
- 漢方薬
を組み合わせて治療しています。
西洋医学と漢方医学の併用で慢性炎症をより安定させることができると考えています。
終わりに
花粉症や鼻炎は、単なる鼻の症状ではなく、体全体の慢性炎症として考えると理解しやすくなります。
舌診を通して体の状態を見ながら、その人に合った治療を行うことが大切だと感じています。
病院に行ってもよくならないアレルギー疾患は、もしかしたら漢方治療を併用することで改善するかもしれません。
初診から全国オンライン診療可能ですので、お気軽にお問合せください
